よろず相談室は、震災によって障害者となった人達の支援を2007年3月にスタートし、本人やその家族が気軽に語り合う「震災障害者と家族の集い」を毎月第1日曜日に開催しています。
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◇なぜ震災障害者か
1.震災によって障害者になること
震災障害者の特異性(平常時に障害を負う場合との違い)は、障害を負った人を支える環境が震災によって壊れてしまうという点にあります。つまり、本人の障害の問題だけでなく、家族や住まい、地域の繋がり、いちどに何もかもが奪われるのです。重いクラッシュ症候群になったAさんの一家は、自宅が全焼、3人の子どものうち2人が亡くなり、夫は職を失いました。片足を切断したBさんの一家は、自宅が全壊、2人の子どものうち1人が亡くなりました。既存の障害者施策では到底救われない苦境に陥るのです。
このような状況に直面し、復興していく社会から置き去りにされたと感じた人も多かったと聞きます。前向きに生きる気力を失った人もいました。毎日新聞の調査によると、震災障害者とその家族の4割が自殺を考えたと回答しています。
2.震災後の社会の眼差し
ところが、このような震災障害者の苦しみは、なかなか理解されませんでした。震災が起き、多くの人が犠牲になる状況では、「障害が残っても、生きているだけましなのでは」という見方をされがちです。けれども、「いのちの次に大切なのは身体のはず。なのに、震災で障害を負った人を誰も見ようとしなかった」(ある震災障害者の家族のことば)のです。
また、行政の方針も、「震災障害者を特別に扱う必要はなく、既存の障害者施策で充分」というもので、長いあいだ、震災障害者の実態調査すら行われず、相談窓口もありませんでした。
3.ようやくできた集いの場
そんななか、よろず相談室は、後遺症を抱える男性のひと言をきっかけに、「震災障害者と家族の集い」を始めました。
「いまも重い荷物を背負ったまま。同じ悩みをもつ人達が集い、薄紙をはがすように軽くしていきたい」
震災から12年が過ぎてようやく、苦しみや悩みを相談し、同じ境遇の人と分かち合う場ができました。お茶を飲んで話をする、ただそれだけでも、不思議と心が軽くなっていくのだそうです。
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