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よろず相談室の活動は、復興住宅に住む高齢者の訪問と震災障害者の集いを柱としています。復旧復興のなかで見落とされがちな「人の支援」に力を注いできました。

はじまりは、1995年の阪神淡路大震災の直後、避難所となった神戸市内の小学校でした。避難生活上の不安や悩みについて相談を受けるほか、有益な情報(義援金の受取り方、感染症予防など)を集めた手づくりの「よろず新聞」を毎晩、避難者に届け、読み聞かせる活動に取り組みました。

その年の9月に避難所は解消しましたが、翌年3月から仮設住宅や復興住宅の高齢者を訪問するかたちで活動を再開しました。独り暮らしの高齢者を訪ね、世間ばなしや日々の出来事のほか、健康不安や生活上の悩みなどについて同じ目線で話を聴くといったものです。また、訪問以外にも、識字教室を開いたり、手紙による交流を企画したり、人とのつながりを支援する活動に取り組んできました。継続することで信頼関係を築き、独りではないと伝えることを大切にしています。

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そして、2007年からは、震災によって障害者となった人達の支援をスタートし、本人やその家族が気軽に語り合う「震災障害者の集い」の開催を続けています。平常時に障害を負うのと異なり、震災の場合には、障害だけでなく、生活基盤や周りの支えを失うという二重の負担を強いられます。そのため、後遺症の苦しみや悩みを相談し、同じ境遇の人と分かち合うことが必要とされています。

東日本大震災以降は、現地の避難所や仮設住宅の訪問活動、全国から募った手紙を被災地に届ける活動に取り組むほか、高齢者や障害者の支援を広げるため、関係機関への働きかけを行っています。東北の復興に向けて、また今後の自然災害に備えるためにも、神戸の経験を伝えていかなければならないと考えています。

子供たちとともに

私たちの活動は、専門家による治療やサービスではありません。普通の人として肩肘を張らず、「何をするのでもなく、なんとなく、ずっとそばにいる」ことで、心を開いた本音の会話が生まれます。

人は人によってのみ救うことができる。私たちが出会った人達が、少しでも前向きに生きてほしいとの願いを込めて。

理事長 牧秀一

阪神大震災ボランティア(復興住宅訪問/震災障害者)